IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣 読書メモ
日本経済新聞出版社 (2007/02)
売り上げランキング: 3769
IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣を読んで目に留まった内容をメモ的エントリーします。脈絡無くメモします。
以下、目次です。
第一部 IKEAの軌跡
- 商売が好きだった
- 17歳の社長
- カタログ販売の成功とフラットパック
- 鉄のカーテンの向こうで
- キャッシュ・アンド・キャリーの原則
- 徹底した節税
- ヨーロッパ各国への進出
- 財団法人が支配する会社
- 事業拡大と新コンセプト
- 超巨大小売業へ
- 巨大市場、中国への進出
- 資本主義の伝道者
- 三人の息子達
第二部 IKEA成功の秘訣
- 価格
- スタイル
- スウェーデンカラー
- ドゥー・イット・ユアセルフ
- カタログ
- ホットドッグ
- 田舎
- カリスマ
- ”安い国”の徹底利用
- 節税
- 危機管理
IKEA(イケア) はスウェーデン発祥の大手家具店です。Wikipediaのイケアのページが詳しいので、まずはこちらをざっと読むとよいと思います。
超巨大な家具店
イケアは、コカ・コーラ、マクドナルド、ナイキなどと比べるとほとんど宣伝をしていないが、にもかかわらず世界最強のブランドのひとつに名を連ねている。2005年度のイケアの総売上高は148億ユーロで、これはアディダスやポルシェの二倍以上だ。
僕がIKEAに初めて立ち寄ったのは2006年1月からのアメリカ短期滞在のことで、「なんかすごい家具店だなあ。やたら広くて、やたら安いけど、アメリカだからかな」と呑気に思ってました。その後日本に帰ってすぐに船橋と港北にIKEAができ、スウェーデン発祥の企業だと知り、実際に行ってみてびっくりでした。日本において格安の価格、同じ品揃え、同じレイアウトだったので。
ちなみに3ヶ月前に書いたあなたの知らない照明術 : akiyan.comの冒頭で買った照明というのは、実はIKEA船橋で買った品です。
Do it yourself (自分でやる)
1974年、イケア・ドイツのカタログを初めて目にしたお客達はこんな文面に出くわした「自分でお望みの品を棚から下ろし、か弱いご婦人でも押せる便利な手押しカートに品物を積んでください」さらにそこにはこんな大胆なメッセージも書かれてあった。「もし字が読めるのなら、組み立て説明書も理解できるはずです」
イケアの商品の価格は安いです。ただ安いだけでなく、びっくりするほど安いです。その低価格を支えているのが「お客ができることはお客にさせる」そのお客にしてみれば「Do it yourself」ということです。
どんなに重くて大きな家具でも棚から自分で下ろしてカートに乗せ、レジを通し、さらにまたカートで車まで運びこまないといけません。このシステムのおかげで、店員がお客から注文を受けて倉庫を走り回ったりする必要がなくなり、人件費が浮きます。
そして組み立て式。フラットパックという梱包が特徴的で、バラバラにした部品をできるだけ平たく梱包しています。このおかげで通常の梱包の約6分の1のスペースになり、輸送コストが今までの組み立て済み家具に比べて大幅に削減できたそうです。もちろん、組み立てコストも削減できます。
僕が買った照明もかなり細かい部分まで組み立て式でした。ちなみに説明書は絵図だけで、文字はありませんでした。世界各国で販売するため、最近の組み立て説明書に文字は無いのかもしれません。
買えなければ意味がない
「いくらデザインが最高でも、人々がそれを買えなければ何にもならないじゃないか」
当時若き起業家のカンプラードは、ミラノの家具見本市で一流デザイナーが考案した家具を見てこう自問したそうです。一流のデザイナーの家具は素晴らしいけど、値段はびっくりするほど高かったのでした。そして実際のイタリア人も、こうした家具とは無縁だったそうです。
日本の今現在でも、古くからある家具店の重厚な家具の値段にはびっくりします。最近はニトリや無印良品など比較的安価な家具店があって便利ですね。
IKEA にあるレストランはスウェーデンのスモーランド地方の典型的な料理
1971年3月、イケア・ストックホルム店が新装開店したとき、そこに新たな呼び物が登場した。来店客に初めてレストランサービスが提供されたのである。
IKEA にはオリジナルのレストランが入っており、ミートボールが定番です。この本を読むまでスウェーデンのスモーランド地方の典型的な料理だと知りませんでした。そしてスモーランド地方は、創業者カンプラードの故郷です。
カンプラードの人生哲学
「だが職業というのはけっして、生活の糧を得るためだけのものではない。働く喜びがなければ、人生の三分の一は失われたも同じである。(後略)」
「責任を引き受けることができるかどうかは、その人間の学歴や経済状態や地位とは何の関係もない。倉庫でも事務所でも仕入部でも販売部でも、どこにいても責任感が必要なのである」
「失敗するのはやる気のある証拠だ」
「働く喜びがなければ、人生の三分の一は失われたも同じ」は真剣に考えたほうがよいと個人的にも思います。ユダヤ人大富豪の教え : akiyan.comでも同じことがいわれています。
粋な祝い方
もしIKEAの経営陣の中に、この日を祝してシャンパンの一杯も振る舞われるだろうと期待するものがいたとしたら、さぞガッカリしたことだろう。というのもカンプラードはこの一大事を、彼一流のやり方で祝ったからである。居合わせたもの全てが驚いたことに、彼は全員に一分間の黙祷を命じた。「われわれの成功をかみしめるために」といって。
イケアの利益が初めて、10億クローネの大台を突破したときのことです。派手な祝賀会など開かず、黙祷。粋ですね...。ちょっとかっこよすぎな気がしますがw
北欧のデザインが世界中で人気を博するようになった理由
北欧の家具は、IKEA が普及する前から人気でした。その理由をまとめてみます。
- 北欧の国々の自然は、きびしく、荒涼としている。
- そのため、住まいが快適であることが重要だった。スウェーデンでも近隣諸国でも。
- 都会とは違って、スウェーデンのような人口密度の低い農業国では、住まいが生活の中心だった。
- 住まいは人間の必要たるもので、自慢するようなものではなかった。
- デザインや明るさが重要で、スウェーデンの人々は明るく優しい感じの材質を好み、シンプルで直線的なデザインを求めた。
- 明るい色調で、光を最大限に取り入れた。(照明術ですね!)
- 装飾的な優雅さよりも機能的な単純さを重視した。その結果シンメトリーや明確な輪郭が住まいを形作ることになった。
要するに、厳しい環境に迫られて機能的でシンプルな家具スタイルがかたち作られたのでした。
成功の秘訣
訳者あとがきより。
イケアの功績はなんといっても、「家具というのは代々受け継がれる高価な財産」というそれまでの常識を覆して、低価格、良品質の理想を実現し、あらゆる階層の人々に「形の美しい機能性に富んだ家具インテリア」を提供したことだといえる。
IKEAは、家具を高級品から消費財に変化させました。そのためには生産方式、デザイン、運搬・販売方法など、あらゆる方面に知恵を絞って工夫を凝らしコスト削減を図り、ついにはお客までも生産過程(運搬・組み立て)に参加させたのでした。
最後に
日本では2009年中までに兵庫、大阪、埼玉に新店舗のオープン予定があるそうです。物流センターを千葉県から愛知県に移す予定があるため、中部地方でも店舗ができる噂があるとか。
とりあえず港北や船橋に行ける方は、一度行ってみるといいんじゃないかと思います。ふつうに楽しいですよ。休日はかなり混むので、可能であれば平日がおすすめです。
日本経済新聞出版社 (2007/02)
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