違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました

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平成24年6月19日の文教科学委員会における、津田大介氏の参考人発言を書き起こしました。津田氏の発言は非常にわかりやすく、書き起こしたら違法ダウンロード刑罰化問題について理解する人が増えるのではないかと思ったからです。

なお、見出しの追加は僕によるものです。また発言内容に関して、一部てにをはの加筆修正、前後重複する発言の一部修正、そして「あー」「まあ」「やはり」などは相当数削除しました。

期間限定ですが、ニコニコ生放送でタイムシフト視聴が可能です。津田大介氏の発言は3:36:00頃から20分間ほどです。かなり長文なので、動画が観れる方は読むより観るほうが早いかもしれません。ではどうぞ。

前段、自己紹介

みなさんよろしくお願いします。津田と申します。

すいません、まず最初に、こんな不謹慎な金髪をこんな所に呼んで頂いてありがとうございます。

我々、まあ僕個人としては、インターネットユーザー協会というものの代表として来ていますが、ある意味で言うと、インターネットユーザーの声を代表して語るってことは、非常に難しいのですよね。

もうインターネットユーザーって、いま9500万人いますから、もう国民のほとんどが利用しているような情報環境になっているという中で、そんな人達のすべての声を代弁するということはできないのですが、ただ、インターネットユーザーの、ある種の一つの声であり、そして、僕個人がですね、実はこの問題と非常に深く関わっておりまして、もともとこの2000年の著作権法改正を決めた、2006年から2009年に文化庁のほうで、私的録音録画小委員会という、審議会がありましてですね、僕はそのメンバーで、このダウンロード違法化、刑事罰化の前の違法化というものを決定する、そこに委員として携わっていた一人としてもですね、非常にこの6年ぐらいこの問題に携わってきたという立場から、今日はお話させていただければなと思っています。

まずこの問題、先に立場から表明していきますと、僕個人そしてインターネットユーザー協会は、刑事罰化には反対という立場です。

まあいろいろな考え方はあると思うのですが、僕が思い出すのは、2006年から2009年に、この議論をやっているまさに文化庁の審議会の中で議論をしているときに、今回、みなさん、日弁連さんや僕らが提出した資料の中の、こういった懸念点、無辜(むこ。罪のないこと)のユーザーが、間違って逮捕されてしまうんじゃないか、というような懸念点というのは、ずっと議論してきたんですよね。

まあ3年、本当だったら1年で決めるようなところを3年間、期間延長してやってきたので、相当、慎重に議論してきた、という思いが僕の中にもあります。

2006年から2009年の議論の状況としては、刑事罰はバランスが悪い

で、僕個人はその審議会の中で、ダウンロードを違法化する必要は無いのではないか、という反対の立場をとっていたのですが、それでも、様々な懸念点を出すことで、それを皆さんで議論して精査することで、懸念点に対する保護みたいなもの、というのは、議論していく中でずいぶんケアされていったのかなと。まあそれなりに妥当な結論になったなー、というふうに、それは覚えています。

その意味で、非常に僕もこの問題には思い入れが強いのですが、そのときにまさに2006年から2009年、じゃあインターネットの違法なファイルを、音楽や動画をダウンロードするのを違法化しようというときに、刑事罰をつけるのかどうなのか、ということも当然議論に上がったんですね、議題に上がって。

そのときにですね、僕個人は反対の立場であったのですが、刑事罰はつけないという案が、事務局そして議論の中に出てきた中で、僕は当時の日本レコード協会の生野(はえの)さんだっと思うのですが、聞いて、刑事罰をつけることを要求するんですかと、まあ当然、レコード協会は当時から刑事罰をつけることは要求してたんですね。

要求していたんですが、なぜつかなかったかっていうと、やはり委員の中の半分ぐらいは、著作権法関係の関係者、法曹関係者で、そして座長だった著作権法の一番の権威である中山信弘先生も、これはですね、刑事罰はつけられないだろうと。

で、なんでつけられないのかというと、単純にこれは、ユーザー個人がダウンロードする、犯した罪や、そこによって損なわれる経済的損益に対して、科す罰が、刑事罰をつけるというのは重すぎるだろうと、ということで、そのときは刑事罰はつけられないということが、そのときに参加していた法曹関係者の、多分、共通した見解だったんだと思います。

で、その2009年にその委員会自体は閉じたのですが、そのあと、ずっと毎年定例で開かれている著作権法の、著作権法を審議する法政小委員会というのが文化庁にはあってですね、法政小委員会というのはもう委員全員が、著作権法の、法曹関係者です。

基本的には法学者しかいないのですが、その中でも刑事罰化というものの要望というのは、音楽業界からあがっていて、当然議題には上ったんですが、ただやはりこれはバランスが悪い、ということで、否定されていて、そして今に至ると。

そして、そういう意味で言えばですね、やはりこれ審議会に任せて、ある種著作権法の法曹関係者に任したら、これはもうほとんどの人が、それはもうバランスが悪いということで、否定しているので、これではもう刑事罰をつけることができないということで、ここ1年2年ぐらいの話として、議員立法が持ち上がって今ここで、議論されて、まさに可決されようとしているというのが、一連の流れであるということですね。

ただまあその法曹関係者が、先ほど否定された、ということは、先ほど日弁連のご意見が表明されましたけれども、そこの日弁連がなぜ反対しているのか、というところにも繋がっているということは理解していただければな、と思います。

政治家の先生は大変だとは思うけど、厳粛に受け止めてほしい

で、この問題を考えるときにですね、僕はもう本当に、今こうして集まっていただいている政治家の先生方のお仕事はですね、非常に大変で、重要なものだと思って日々僕は尊敬しています。

これは本当に、僕がこの政策と関わるようになってから、これは思っている本当な真摯な思いでもあるのですが、やはり政治家の先生方のお仕事って何なのかというと、多様な方々の立場の意見を聞いて、そして、全く利益が異なる、利害関係が異なるステイクホルダーの、意見を聞いた中で、大所高所から、法律、そしてこの国の未来を考えて、政策を作っていく、ある意味僕は政治家の先生というのはメディア的な存在だと思っているのですね。媒介としてのメディアですね。

いろんなものがあった中で、何かを決定して進めなければいけない、というところなのですが、ただこの問題でいうとですね、この問題、じゃあ違法ダウンロード、特に刑罰化の問題ということを考えたときにですね、法曹関係の多くが、これは明らかにバランスが悪いと反対しているということは、これはひとつの事実として、僕は厳粛に受け止めていただきたいな、ということは思いますね。

これは、僕個人がすごく印象に残っているのが、実は、また2006年から2009年の私的録音録画の、僕が参加していた審議会の話に戻るのですが、まあ、変な話なんですけど、ダウンロード違法化に関して、僕は、委員が18人いて、一人だけ反対している立場だったんですよね。

これはもう違法化しなければやむを得ないだろうということが議論の趨勢(すうせい。ある方向へ動くさま)になっている中、僕は一人で反対ではあったのですが、とはいえですね、その中で、議論した中で、まだある程度落とし所、っていうのを探る形になって、結論が出てそれが著作権法改正になってゆく、というプロセスを経ていたんだと思っています。

そのときにですね、ある意味一番対立していた委員の方、まさに法曹関係者で、どちらかというとエンタメに近い弁護士の先生がですね、その方はダウンロードの違法化には賛成されたんですが、今回、この刑事罰化ということに関しては、ある種、僕と一番対立していた方も、この刑事罰化に関してはあまりにも行き過ぎだと、明確に反対するということを、日弁連の集会で述べていらしたのですよね。

正しい認識の上で議論すべき

非常にそういう意味でも、まさか、この人と同じ意見を同じ場所で述べることになるとはな、というふうに僕個人もですね、非常に感慨深いものがこの前の日弁連の集会であったんですが、非常に大きなそういう問題をですね、ある意味、政治家の方々に改めて認識して頂きたいのは、この問題は議員立法が元々として提出されたという事の経緯も含めてですね、一部の特定業界、今だと音楽業界ですね、音楽業界の意見だけ聞いて、そして今、インターネットの違法ダウンロードによって、非常に大きな被害を受けているという、6800億円近くの被害を受けているという調査結果もあるんですが、でも元々根本的には、その調査結果自体も、やり方が偏っているんじゃないか、という指摘もまたいろいろな学者からも出てきているわけですね。

そもそも日本が一番CDが売れてたというのは1998年で、そのときにCDが6000億ですから。6000億がピークでどんどん下がってきていて、今2500億まで下がっているわけですね。非常にそういう意味では深刻な状況というのがわかるのですが、ただそれ以上の、今までかつて売ったことも無い、CDをそこまで売ったことも無い、6000億がピークであったのに、それ以上の6800億というものが、違法ダウンロードによって、損失が出てきているということ自体が、そもそも数字としては僕は余りにもバーチャル過ぎるのではないのかな、というふうに思いますし、そういったある種偏った調査結果に基づいてですね、こういった国会で、その偏った調査結果に関して、これってどうなのと、チェックして、その中で慎重に議論してやっていきましょうよ、というのが国会の役割だと僕は思っているので、それがチェック無しに進んでいくということには、非常にちょっと残念な部分があります。

とはいうもののですね、CDが売れなくて、音楽業界が違法ダウンロードに苦しんでいるということは、僕も非常に理解できます。僕自身もずっと音楽業界をもう10年以上、仕事をジャーナリストという立場で見てきて、それは非常に僕も理解できます。

僕自身も著作者であるし、音楽業界が無くなったら困る

先ほど、ふなき(?)さんの方から、音楽業界の厳しい現状をご紹介頂きました、あれはもうほとんど、生の声、現場の声だというふうにも思います。

岸さんはもう大学で教えている傍ら、レコード会社のエイベックスの取締役もされているので、その意味ではまさに本当に現場の声というのはよくわかっていらっしゃると思うのですが、僕個人が、じゃあ自分がどうかと。実際僕も、音楽大好きです。まあこんな金髪にしているというのもあるんですが。

音楽好きですし、で、音楽業界に関わってないかというと、関わっています。音楽の情報を、新譜情報とかを取材して、いわゆる音楽雑誌のウェブ版みたいなものの、ナタリーというものの、それの創業メンバーで、ある意味で言うと音楽業界が無くなってしまったら僕らの業界というのも無くなってしまうので、非常に困ると。

本業でいえば基本的には僕はジャーナリストですから、当然、僕が書いた原稿というのも著作権というのが存在するわけですね。著作権が無ければ、メシを食えなくなるので、僕も非常に、そういう意味では知財法とか著作権というのは、非常に重要だとは思っています。

ではなんで、そんな立場なのになんでこの問題に反対するということはですね、やはり根本的な話として、これが、音楽業界の特定の問題だけではなくて、国民の、情報のアクセスそのものですね、それに関わってくる非常に大きな、社会全体に影響を与える範囲が大きい問題だから、僕は反対をしているという立場です。

そもそもインターネットと著作権は相反する

インターネット皆さん多分もう使われてない方なんていないと思いますけれども、もともとインターネットって、じゃあどういう技術かというと、基本的には、世界中のパソコンとパソコンを繋いで、それを情報を簡単にコピーできるようにすることで、社会全体の情報の公共性を上げていきましょうよ、という、そういう思想なわけですよね。

でも、著作権法ってどういう権利かというと、自分が、著作権が発生しているものを、他人に勝手にコピーさせない、ということで経済的インセンティブを与える、という、他人にコピーをさせない権利と、でも情報をコピーしやすくすることによって、それで社会全体の便益を上げていきましょうというインターネット、最初っから真っ向からこれ、ぶつかっちゃうわけですよね、インターネットと著作権というのは。

その中でじゃあどうバランスをとっていこうかということが、インターネットが登場してきた1995年ぐらいから、非常に、文化庁中心に、わりと慎重に議論されてきた、ということがあるのだとは思います。

これはなかなか難しい問題だと思います。

万引きとは違う

先ほど、岸さんのほうから、久保利(くもりと発音していましたがおそらく久保利)さんのほうからも、経済的便益も損なわれているだろうと。これ、結局のところ万引き犯と同じじゃないかと。万引き犯が捕まるのは当然だ、ということで、そのアナロジーでこの問題っていうのは語られがちではあるのですが、これ、半分は正しくてやっぱり半分はちょっと違う所があるなーと僕は思ってまして。

なぜかっていうと、著作権というは元々土地とかモノになぞらえて考えられがちなんですけれども、でも、擬似的な所有権なんですね、著作権というのは。

あくまで、土地のような、有体物のような所有権ほど強いものでは無いし、そもそも社会的な実験みたいなところが強いと。著作物利用者側の利用がもたらす便益と、著作権者保護のバランスの上で、そこで成り立っている。だから権利制限というのがあるわけですね、著作権というのは。

例えばじゃあ障害者利用とか、学校の中では制限してきましょうということが、ある意味でいうと土地の利用権なんかと比べても非常に制限される。これは社会的なバランスをとって決められている、というところがあると。

そういう意味で非常に、こういったものを変えていくという所では、非常にやはりバランスをとった議論をしなきゃいけないということがあって、ある意味で言うと各国の著作権法制度が全く違って、それぞれが異なる実験を行なっているっていうのも、これは非常に、ある意味で言うと国際潮流があるようで無いんですよね。

バッファがあるのと即違法は違う

例えばじゃあ今回、先ほど岸さんの方から、フランスや韓国でスリーストライクの法が、罰則として入れられたじゃないかって話はありますけれども、ある意味で言うとスリーストライクというのは何でかというと、2回もしくは3回までは見逃すよという。そういう意味でもバッファを設けているんですよね。

でも今回この刑事罰が通ったらどうなるかというと、これスリーストライクじゃないですから。ワンストライクでアウトなわけですよね。ワンストライクで捕まってしまうという。そういうバッファを設けないという。

そこは法律刑罰化のもたらす意味合いも異なってくるということも、まず理解していただきたいということもありますし、加えて言うと、例えば最近の潮流ですと、やはりインターネット個人がパソコンにダウンロードするというのはやはり、家の中でやるようなものなので、これはもうそこに関しては違法とするべきではないということが、これは、スイスとオランダでもこういったものは議論になりまして、むしろスイスとオランダは逆に私的ダウンロードに関しては合法化してます。というような流れもある。

もちろん、スイスやオランダはどちらかというと、アメリカとか非常にでかいコンテンツ輸出国からコンテンツをダウンロードすることが多くて、あまり音楽とかを輸出することが無いというところで、変わってくるということはあるんですが、いずれにせよ、すべての国がじゃあダウンロードを違法化して刑罰をつけて厳罰化しているかというと、そういうわけでは無いわけですね。非常に、国によって対処の仕方は変わってくるということはまず状況としてあると。

社会全体に影響があることが問題

端的に、そろそろまとめに入りたいのですが、じゃあ今回のダウンロード違法化、そして違法ダウンロードの刑罰化、一番の問題はどこにあるのか。なぜ僕は、著作者でありながら反対するのかというと、やはりこれは、社会全体に影響が及ぶ著作権法をいじる、ということなんですよね。

たとえばこれが通ったらどうなるのかというと、もしかしたら、ダウンロード違法化して刑事罰をつけても、効果がなかなか見えないと。であれば、じゃあストリーミングも対象にしましょうと。YouTubeとかで観てるのも、単にパソコンに保存されないものも、刑罰化の対象にしたほうがいいんじゃないかとか。

もしくはやはり情を知ってというのであれば、これがある以上なかなか摘発もできないと。情を知ってという項目を削除したほうがいいんじゃないか、とか。

あともう一つ非常に重要な問題としてあるのは、これ、今、音楽と動画だけに限定されてますよね。ただまあこれは実際に著作権文化会、文化庁の審議会なんかでは、なんで音楽と動画だけ特定に保護されるんだと。すべての著作物を保護してくれよ、というふうに、ゲーム業界とか他の業界からも声が出てきてます。

著作権て色んなものが保護されますから、いずれこれ、音楽と動画だけではなくすべての著作物がダウンロード刑罰化の対象になる、というような、ある意味で言うと刑罰化がつけば、そこから先っていうのはそこに行きやすくなるということは、可能性としてはあるわけですよね。

もし全ての著作物が対象になったらどうなるか

そうなるとどうなるのかというと、まあ考えてみて下さい。例えば我々、普段ネットを見てますよね。ネットを見ていて、例えば何々新聞の記事があったなーと思って検索をしてみると。検索をしてみて、それが朝日新聞とか読売新聞とか、彼らが作った記事にぶつかればいいですけど、たまたまそれをコピー&ペーストしたブログとかを見つけたと。それを資料として使おうと思って印刷しましたと。

でもそのブログに転載されたものって、明らかに権利者に無許諾のものですから、それは違法ですよね。それを印刷しましたと。皆さんの秘書の方々が、ちょっとこんな問題があってこういうふうになってますって言って、たまたま印刷した資料を持ってきた。でもそれ、違法行為になっちゃいますからね。

たまたま、いいなー、これ、この綺麗な夕日の画像があったと、パソコンの壁紙にしたいなーと思って右クリックで壁紙にするってやったら、これもダウンロードですから、これも違法です。刑事罰もついてしまいます。

という、これだけ、すべての著作物が対象になって、これから電子書籍なんていうものも本格化するというときに、我々本当に日常的にインターネットで情報をとっているときに、それが違法か合法かというのはわからない状況でとってますし、それが音楽動画以外にも拡大されたときに、インターネットのユーザー9500万人ってさっき言いましたけど、多分日常的に使うユーザーの、まあ4000万とか5000万とか半分以上が、よく知らないままに、違法行為をしてしまう、そういう状況に繋がる法改正であるということは、非常に理解して頂きたいなとも思いますし。

そうなったときに本当に、インターネットという情報技術そのものが、国民の情報を知る権利なんかにも繋がってくる、非常に重要なものであるという、音楽業界を保護するという議論だけではなく、情報技術そのものに対しての秩序が変わってくる問題であるということですね。

コンテンツ産業は守るべきだし、制限は設けるべき

とはいうものですね、最後になりますけど、僕も、岸さんがおっしゃる立場と実はすごい近くて、日本のコンテンツ産業を守るべきだと思います。守るべきだと思いますし、輸出すべきだと思います。そして、インターネットが、特別にね、すごい治外法権で何でも自由に違法なことができるよっていう空間であるべきではないとも、僕も思います。

で、この今回の刑事罰化に関して言えば、もちろん目的は一つだと思うんですよ。コンテンツ業界が、音楽業界が儲かるようにする、これはもう目標ですよね。これはわかります。まったく僕もその目標に関しては、同意するし、進めていくべきだと思う。

とはいうものの、今回の刑事罰化で、じゃあ音楽業界が、CDがたくさん売れるようになるかと言ったら、多分ならないです。下がっていくと思います。

これは経済問題であるからして、難しい

で、先ほど久保利さんの方から、これはもう本当に経済問題だと、という話で、総会屋の話があってですね、非常に面白いなと思いながら伺ってたんですけど、総会屋が刑事罰がついたことによって、総会屋は萎縮したわけですよね。萎縮したことによって、企業の便益は上がったと。

これは経済的効果はあったんですけど、音楽家の問題って、これちょっと違うのは、当然、刑事罰になったらみんな萎縮します。ただ、音楽をダウンロードするユーザーはまず総会屋ではないということと、プラスですね、結局萎縮することは同じなんですよね。萎縮したら何をやるのかというと、買わなくなるだけなんですよね、単純に。

だからおそらくそれは、そもそものそういう意味で、経済的な問題というのは非常に難しいのかなーと。

僕はじゃあどうすればいいのか、反対するだけで対案を示さないのはどうなんだ、ということもよく言われるので、対案で言うと、僕これはもう、この問題を解決する目標、コンテンツ業界を伸ばしていくというものの、解決する対案はわりと一つ簡単にあります。

対案は、文化予算を増やすこと

何かというと、文化予算を増やすことだと思うんですこれは。これしか無いと思います。

日本の文化予算がいくらかというと、だいたい文化庁の予算は1000億です。1000億なんですけど、なかなかやっぱりこれ、低いんですよね。これ諸外国に比べても全然低いです。

例えばじゃあ今コンテンツを輸出している、我々今音楽番組を観ると、CD屋行っても、韓国のK-POPがたくさんありますよね。K-POPはもう国策として輸出して、そして外貨を獲得している。

韓国の文化予算は今、去年いくらだというと、5000億です。日本の5倍かけてます。それだけ彼らは投資してそれを回収しようとして、日本に進出している。

ひるがえって日本の、じゃあ道路関係予算はいくらだと。今1兆4682億なわけですね。もう引くかどうかもわからないような高速道路というのは未だにやっぱり建設して、これ誰も利用しないだろみたいなところに2000億かけてやろうとか言ってるわけですよね。

その2000億とか止めて、なんか、文化庁の予算にちょっとでも回す、せめて、韓国ぐらい、5000億ぐらい回して、そこで業界を保護していく。

これ、刑事罰化をやって、多分売上伸びないって最悪ですよね。情報環境に対して悪影響があって、しかも音楽産業も伸びないなんていったら、これはもうある意味でいうと政治の不作為だと思います。

だから多分、これは本当に、この予算配分をどうしていくかということを考えるのがまさに政治家の先生のお仕事だと思いますし、僕は文化は保護されるべきだと思うし、そのためには文化庁の予算というのもきちんと、文化庁、庁ではなくコンテンツ省に上げようなんて議論もありますけど、そういうところも含めた議論をして頂きたいなと思います。

ぜひですね、本当に皆様方にはですね、この問題が音楽業界の特定の問題ではないと。そうではなく、誤った認識を捨ててもらった上で、社会全体に影響が及ぶ問題である、そういう認識を持ってもらってですね、ぜひ、この問題、拙速に進めるのではなく、僕は5年6年時間をかけて、慎重に進める問題として認識して頂いて、是非今回に関しては止めて頂いたほうがいいのではというふうに思います。

長くなりました。以上です。ありがとうございました。

--書き起こしここまで--

書き起こしの記録

  • 書き起こしにはtranscriptions(OSX)を使用しました。初めての利用でしたがかなり使いやすかったです。
  • 書き起こしの元動画は、ニコニコ生放送のタイムシフト試聴動画を、QuickTime Playerの画面録画、Soundflowerでの音声出力録音で記録して再利用しました。
  • 書き起こしにかかった時間は2時間半ほどでした。文字数は9700文字程度です。

参考リンク

コメント / トラックバック

コメント / トラックバック 22 件

  1. [...] 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました [...]

  2. [...] 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました まだよみきれてません。が、昨日抜粋を読んだ限りだとかなりいい感じなのではないだろうか?津田さんの [...]

  3. 佐藤浩 より:

    見出しも適切ですね、改めて勉強になりました。ありがとうございました。

  4. チャンドラー より:

    津田君がまともなことを言えば言うほど、政治家どもはチンプンカンプン
    だろうよ。

  5. [...] 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました [...]

  6. 米田憲史 より:

    ありがとうございます。fbよりリンクにたどり着きましたが、この津田さんの意図が僕にも伝わり、そして、僕も何か行動をすることができそうです。これもひとえに"書きおこし"という伝える行動のおかげです。

  7. 佐藤 より:

    せっかくいい内容の話(だと思われる)なのに、文章が読みにくいったらありゃしない。途中で挫折しました。もっと推敲して書き直されることを希望します

  8. [...] 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました [...]

  9. [...] 意見を文章化したものも載せておこう。聞き逃しの多い私には非常に助かる記事だったり。リンク: 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました | akiyan.com [...]

  10. [...] 津田大介さんたちの発言もむなしく、刑罰化が成立しました。 [...]

  11. [...] 【7】違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました : akiyan.com 改正著作権法が10月1日から施行されることになりましたね。DVDのコピーも違法なるようで [...]

  12. マスター より:

    刑事罰化してもCDの売上が回復するとはとても思えないです。
    津田さんってなかなかやりますね

  13. mystee より:

    http://japan2.jp/
    違法ダウンロードの刑罰化のヤバさが分かるサイト。

  14. [...] #8212;—————- 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました : akiyan.com http://www.akiyan.com/blog/archives/2012/06/tsuda-daisuke-view-for-illegal-download.html [...]

  15. 関康治 より:

    興味深い事柄についての書き起こし、本当にありがとうございました。お疲れさまでした。

  16. [...] 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました : akiyan.com そもそも日本が一番CDが売れてたというのは1998年で、そのときにCDが6000億ですから。6000億がピー [...]

  17. mtakeya-blog より:

    [...] [...]

  18. […] 違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました : akiyan.com […]