月額課金のVPSから時間課金のDigitalOceanとEC2に移行した先には自由があった

最近、個人で運用しているサービス群やこのブログのホスティングを DigitalOceanEC2 に全て移行しました。それまでは さくらのVPS と ConoHa VPS を使っていました。

結果、価格あたりの性能は下がりましたが、メンテナンスとスケールの自由を得ました

メンテナンスの自由がある

サーバーはときどき、まっさらな状態から作り直したくなります。その対象が本番稼働しているサーバーの場合、「新しいのを必要な台数ぶん用意して、移行する」のが、ふつうです。

そして移行する際のサーバーの調達において、月額課金型のVPSは課金が月単位なので、移行先のサーバーを用意すると、うまいこと移行時期を調節しても「既存のサーバーとの1ヶ月以上の重複課金期間」が発生します。さくらのVPSの場合は毎月何日移行の解約は翌月末の解約となるので、約2ヶ月の重複期間にもなります。ConoHa VPSの場合は即日解約の日割りなので、解約についてはこの問題は発生しません。

そして解約だけではありません。移行先のサーバーを用意したら月額課金なので、もし途中でやめようと思っても月額ぶんの課金が発生してしまいます。試用期間や日割りの条件によって課金が無くなったりすることもありますが、そういうことを考えてメンテナンスするのは面倒です。

時間課金型に移行して、こういった悩みがきれいさっぱり無くなってすっきりしました。いつでも借りられ、いつでもやめることができるのは、とても自由な世界でした。

価格あたりの性能は低くても、スケールの自由がある

DigitalOcean や EC2 の価格あたりの性能は、VPSに比べて 2 / 3 な感じです。比較しやすいように、表にしました。

サービス 月額(税込) 仮想コア数 物理メモリ ストレージ 転送量 近隣リージョン
DigitalOcean $5 1 512MB 20GB(SSD) 1TB シンガポール
DigitalOcean $10 1 1GB 30GB(SSD) 2TB シンガポール
EC2 t2.micro $15 1 1GB 従量制 従量制 東京
さくらのVPS 934円 2 1GB 100GB 無制限 東京 / 大阪 / 石狩
さくらのVPS 1552円 3 2GB 200GB 無制限 東京 / 大阪 / 石狩
ConoHa VPS 1004円 2 1GB 100GB 無制限 東京
ConoHa VPS 1512円 3 2GB 200GB 無制限 東京

性能は低いですが、時間課金型なので、いつでも上位のインスタンスに切り替えることができます。今回移行してみて気づいたのは、じゅうぶんなリソースをあらかじめ確保するよりも、いつでも必要な性能のインスタンスを調達できることメリットの大きさです。

不要不急のリソースは無駄でしかありません。そして、必要なときにそのリソースで足りるかどうかも、わかりません。「いつでも必要なときに必要なリソースを確保できる」ことは、じゅうぶんな性能が予め確保されたようなものです(空きリソースは保証されませんが)。突然、大きな負荷がかかる可能性のあるウェブサービスなどは、瞬間的にリソースを調達できるほうが、安心です。

そして、必要なときに必要なだけの性能でよいことを考えると、じつは、価格は安くなる可能性すらあります

DigitalOcean は、インスタンスの状態をそのまま引き継いで性能を変更できます。コントロールパネルから停止して、性能を切り替えて、起動すれば、ストレージの状態やIPアドレスなどはそのままで再起動します。突然のアクセス増でも煩雑な作業無しにスケールアップできます。ダウンタイムは発生してしまいますが、個人レベルでは十分な保険でしょう。

また、インスタンス単位で復旧が困難な障害が起きたときでも、すぐに捨てられるサーバーなら、即座に判断して対応できます。

DigitalOcean の自動バックアップがお手軽で便利

DigitalOcean では、インスタンスの状態を毎日1回自動でバックアップしてくれるオプションサービスがあります。インスタンス価格の20%を支払うことで、オンラインで毎日スナップショットを取ってくれます。このスナップショットを使って別のインスタンスを起動することも可能です。

利害関係者が自分だけの個人ブログやサービスは、バックアップがおろそかになりがちです。データの種類によってはバックアップの設定が面倒だったりします。普通はバックアップしないようなアクセスログなども丸ごとバックアップされて、$10のインスタンスなら毎月$2なので、安いと思います。バックアップデータは Amazon Glacier に保存されるそうです。

EC2 も併用したのは Amazon Linux に慣れたかった

今回、いくつかのサービスを EC2 で運用しました。EC2 は、それだけでみると高価です。Elastic IP や EBS など、設定が煩雑で従量課金の部分も多く、小粒な個人サービスでは、コスパ的メリットはあまりありません。ですが、今後OSシェアとしての Amazon Linux の存在感が増すと考えて、個人サービスの一部も Amazon Linux で運用することにしました。

EC2 は東京リージョンということもあり、レイテンシが20msと低くCUIが快適です。また、CPUクレジットが足りていればとても高速に動作します。最低1年は運用しそうなので、重度利用のリザーブドインスタンスを1年ぶん購入し、月あたりの課金額は$10程度になりました。

あれ?時間課金といいながら、1年ぶん購入しちゃったの?と思うかもしれません。じつは、リザーブドインスタンスの利用権は柔軟な割り当てが可能です。例えば t2.micro をもう1台借りたいときは、今回購入した1年分を2つのインスタンスに半年分づつ割り振ることができます。台数だけでなく、インスタンス系統が同じであれば、性能の異なるタイプへも同様です。(t2系はmicro止まりですが他のタイプなら)

リザーブドインスタンスが先払いしているのは「利用予定のリソース」であって「1台のサーバーを年額レンタル」しているのとは違うのですね。
もちろん利用をやめると払い損になりますので、そこはリスクとして許容します。そしてもし2台目を借りることになれば、リスクは縮小します。

その他いろいろ

  • DigitalOcean のリージョンは近いところでもシンガポールで、レイテンシが100msあります。CUI のエディタではちょっともたつきますが、個人的には許容範囲です。
  • DigitalOcean も EC2 も転送量を気にする必要がありますが、リッチメディアを配信するサービスでなければ、気にするほどではありません。最近は無料CDNの CloudFlare なんてのもあります。
  • DigitalOcean はインスタンスを停止していても課金されます。EC2 は停止している間は課金されません。
  • さくらのVPSとConoHa VPSでは、OSイメージによってはGUIコンソールでインストールウィザードを手動で通す必要があります。めんどくさいです。DigitalOcean と EC2 は、起動したらすぐに ssh でログインできます。
  • さくらのクラウドも時間課金型でスペックを自由に構成でき、石狩リージョンのレイテンシもメリットです。ただ、最低スペックが 1CPU/1GB/20GB で月額2000円からなので、極小粒の個人サービスなら1500円以下の他サービスのほうがコスパがいいです。

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