アレンジ楽曲文化は爆発した
最近のニコニコ動画でのニコニコ組曲の盛り上がりを見ていてふと思ったこと。
アレンジ楽曲を聴くのは多くの人にとって、とても楽しいことなんだな、と。
アレンジは著作権的にはグレーないしはアウトのものが多いんだけど、アレンジってのは単純に人を惹きつけるものがあると思う。エンターテインメントの基準のひとつとしていわれている「どこかで見た何かは楽しい」がそのままだから、当然ちゃ当然。
で、「ニコニコ動画でのニコニコ組曲の盛り上がり」と「パソコン通信時代のMIDI楽曲」が強烈にダブったので、衝動的に書いてみる。(MIDIは「ミディ」と読む)
まずは昔話から。
インターネットが普及する前のネットといえばパソコン通信で、パソコン通信上での楽しみの一つとしてMIDI楽曲集めがあった。
MIDI楽曲というのは乱暴に説明すると「楽器の種類や音階やピッチだけを記録した演奏データ」。演奏データなので基本的に生音は表現できないし、PC単体ではまともに再生できない。
ではどうやって再生するのかというと、PCの周辺機器として数万~10数万円もするMIDI音源機器をPCに接続してやっと再生できた。僕は当時学生だったので、中古で廉価品のMIDI音源を使ってた。知ってる人しかわからないけど、SC-55とかそんなの。お金をためてSC-88Proを手に入れたときは興奮した。(アップロードされていた楽曲はSC-88Proで作られていたものが多かったので、作者が作ったそのままの曲が聴けることが嬉しかった)
で、なんでそんな面倒くさいことになっていたのかというと、今に比べて通信速度が非常に遅くストレージの容量単価も高かったから、とても生音データをやりとりできる環境ではなかった。僕がMIDI楽曲集めをしていたときに使っていたモデムは14.4kbpsで、willcomの最低速でも32kだから、その半分以下。生音のやりとりなんてありえなかった。当時にMP3のような圧縮音源があったとしても、PCの性能が追いつかないので再生することもできなかった。(あるにはあったけど、それでもサイズは大きすぎた)
アップロードされていたMIDI楽曲は大量にあった。楽曲はアニメのアレンジやゲームのアレンジが多かった。J-POPもそこそこあった。そう、今のニコニコ動画のように。クオリティも高かった。歌声は無理でも当時のゲーム楽曲なんかはもともと歌無しがほとんどだから丁度よかった。
でも、それを楽しめたのはインターネットも無い時代にPCを所有して尚且つ高額なMIDI音源まで用意していた人だけだった。
そして今。
PCの性能が上がって圧縮音源が可能になり、通信速度が上がり、誰でも気軽にアップロードができるようになり、気軽に再生できるようになったとき、アレンジ楽曲という文化は爆発したんじゃないか。
そんなことを思いました。
今後も「昔楽しいけど苦労してやっていたことが誰でも可能になって、文化になる」ということが起こるのかと思うと、何だか無責任にワクワクしてしまいます。
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